ブログ開設後1発目の投稿ですが、今回の記事は遊戯王のよくわからんゲームのレビューです。
※画面を綺麗に取り込む方法を持ち合わせていないため、画像はほぼ直撮りとなっています
その名も
遊戯王 真デュエルモンスターズⅡ継承されし記憶
このゲームはあの悪名高い前作、「遊戯王真DM 封印されし記憶」の続編です。
高額かつ優秀なカードである「ニュート」が付録になっていたということでコレクターの方や当時OCGをプレイしていた方は認知しているかもしれません。
プレイ動画を見たことがあり、ざっくりとした知識は持っていたのですが、この度実際にプレイしてみたいと思ったのでAmazonにて中古品を購入しました。(1000円)
本作は前作同様に遊戯王原作やOCGを題材としており、キャラクターはもちろん対戦で使用するカードも大半がそこからの参戦となっているため、それらのファンにはなじみ深い要素が多いです。
しかし、対戦のルールは一般的なデュエルとは異なり…
カードを駒にしてマップ上を移動し、戦わせるシミュレーションゲームと遊戯王カードの融合したものとなっています。
シミュレーションはテレビゲームでも大昔からある王道のジャンルですが、遊戯王ゲームでそれをやろうという発想はDM期特有の自由さを感じます。
※他にはリアルタイムストラテジーである「遊☆戯☆王フォルスバウンドキングダム 虚構に閉ざされた王国」や作品ごとに設定の異なるチェスゲーム「カプモン」シリーズなど、本作以上にカードゲームと別物と言える遊戯王ゲームが存在しています。
そのゲーム性
あの封印の続編かつ、OCGですらないという事で悪い意味で期待してしまう方は多いと思います。
ですが、なんとこのゲームは案外普通に遊べます。
本作は駒ごとに特性のある軍人将棋のようにちゃんと効果モンスターが存在します。
OCGプレイヤー目線では「いや、全部のカードに効果を付けろよ」という声もあるでしょうが、基本は力と力の殴り合いで絡め手による抜け道がほぼ存在しなかった前作に比べて確実に進歩しています。個人的にこれだけで評価はかなり上がります。
文面や直撮り画像だけでの説明には限界があるので簡単にまとめますが、本作は
①モンスターカードを出すには毎ターン得られる召喚パワーを消費する必要があり、強力なカードには高コストが設定されている他、マス移動で近づかないと戦闘ができないため、いきなりゲートガーディアンが出てきてゲームが終了するようなことは無い
②カードは1ターンに1枚しか出せないが場に出したカード1枚ごとに1回の行動権(攻守変更や移動、攻撃)があり、前作で壊滅的だったカード同士のコンビネーションが改善されている
③シリーズ恒例の融合システムにより弱い通常モンスターでも強力なカードに化けられる
④魔法・罠カードが多様(前作比)になっており、とくに罠での妨害は前作同様強制発動なのが残念ではあるものの、②の仕様のおかげでOCGでの使用感にいい意味で近づいている
…など、「シミュレーション化したことで偶然こうなったのでは?」と思ってしまう点はあれど結果的にゲーム性は確保されているのでここは素直に喜びたいポイントです。
また、対戦外でのゲーム性について触れておきます。「デッキコスト」と「カード収集」です。携帯機シリーズをプレイした方はこのワードで悪寒がしたと思いますが、おそらく他作品に比べれば優しい方だと思われます。
「デッキコスト」はデッキのカードごとに指定されたコストの合計値です。なんとこれが相手のデッキコストを上回ると相手が対戦してくれません。安易な強カードで無双するなということですね。ただし、携帯機のデッキキャパシティと比べると理不尽な数値を設定されているわけではないので実際にプレイしてみるとそこまでの苦行にはなりません。
「カード収集」についても同様で、後年の作品のプレイヤーからするとドロップ式での入手は気が狂いそうになるかもしれませんが、欲しいカード(あくまで普通にクリアするために必要な分ですが)の目星をつけてセオリー通りに狩りをすればそれなりのカードが効率よく集まります。
この時代のゲームとしては許容範囲といった所でしょう。
ファンに嬉しい要素
キャラゲーはゲーム性も当然大事ですが、やはりファンならニヤリとしてしまうような小ネタ、ゲームオリジナルの展開や設定を目当てで購入する方も多いと思います。
その点このゲームはどうかと言うと、点数をつけるなら60点ほどだと感じました。
自分自身、遊戯王のゲーム独特の雰囲気が好きでオリジナルキャラクターにも思い入れがあり、それを継承しているというだけで嬉しいには嬉しいのですが、いかんせん会話パートが雀の涙ほどのボリュームなのでせっかくの
「遊戯王キャラをキャストとして中世ヨーロッパの薔薇戦争が再現される」
という大変カオスな設定が半分以上死んでしまっています。容量というよりは単にテキストが思いつかなかったのかもしれませんが、これはキャラゲーとしては非常に勿体ないです。テキストにもう少しボリュームがあれば伝説のゲームになったかもしれません。
以下、掘り下げがあったら伝説になったかもしれない要素の数々(基本的にこういった要素は出たら出っぱなしで特に回収されたりはしません)
自分が「勿体ない」と言った理由が分かっていただければ幸いです。
さて次はこのゲームのメインと言えるデュエル部分のファン向け要素ですが、こちらは遊戯王原作及び遊戯王ゲームというジャンルのファンのツボをおさえたラインナップになっていると思います。
冒頭で書いた通り、各モンスターにはデフォルトで属性によるフィールド適正(移動力が上がったりステータスが上下したりする)があるのですが、それとは別に効果を持つモンスターが存在しています。
例えば「でんきトカゲ」は戦闘でリバースしたときに敵を1ターン行動不能にする効果、「ゴースト王‐パンプキング」には表側守備表示で自分のターンを迎えると全てのアンデッドの攻守を100バフする効果などを持ちます。(それぞれアンデッド耐性や闇晦ましの城とのセット運用は削除)
このようにOCGに近い効果を持ったカードの他にOCGでは通常モンスターだったカードに効果が与えられているものの他に本作のルールに適した全く新しい効果が設定されているものがあり、それらは単純にユニークな効果であったり、原作を語る際にしばしば「言ったもん勝ち」と突っ込まれるあの効果を再現したものであったりとファンなら反応してしまうようなものが多く、ゲームに花を添えてくれるでしょう。
次にシリーズお馴染みの融合要素についてですが、こちらは前作より判定が厳しくなっているため、前作の感覚で融合しようとするとことごとく失敗するでしょう。
例を挙げると全封印プレイヤーがお世話になったであろう「双頭の雷龍(サンダー・ドラゴン)」は融合条件が
封印されし記憶
攻撃力1600以上のドラゴン系モンスター(見た目がドラゴン寄りであれば可)+雷族
継承されし記憶
攻撃力2000以上のドラゴン族モンスター(おそらく攻撃力以外の条件は同じだが攻撃力2000以上に非ドラゴン族の該当モンスターが少ないため結果として高難度になっている)+雷族
このように変化しています。
また、上記の条件を満たす「密林の黒竜王」を別に融合して中継ぎに使おうとすると、なんとこちらはドラゴンのレベル5以上を指定されているため、ここでまたしても躓きます。
結果的に不自由になった感は否めませんし、封印時代にあったユニークな融合パターンは減っていて少し寂しさを感じるものの、戦術に取り込めるレベルかつ手札が噛み合った時は気持ちよくなれるのでシステムとしては機能しているでしょう。
リンクは貼りませんがyoutubeやwikiに両作品の融合パターンがアップされているので興味がある方は「作品名+融合、儀式」などで検索してみてください。
最後にBGMや3Ⅾモデルについてです。
今作はDM4などに比べて曲数は少なめですがほぼ文句無しの出来です。特にオープニングは「遊戯王モンスターカプセル ブリード&バトル」の闇遊戯戦のアレンジで、個人的にこのゲーム中最も印象に残る曲です。
また、戦闘アニメをONにすると映るモンスターの3Ⅾモデルは当時としてはだいぶ作りこまれていて一見の価値ありです。(特に機械族モンスターは正統派のカッコよさ)
これは個人的に感動した「雷神の怒り」のモデリングです
↓
おわりに
今、遊戯王でこういったゲームを出すのはほぼ不可能だと思いますが、この物足りなさのまま終わらせるにはあまりに惜しい作品なので、単純にボリューム増・AI(本作はあまり強くないです)やカード収集を現代の感覚に合わせるなどして是非復活させて欲しいものです。
追記
以前別サイトではDCGの構築記事をきまぐれに書いていたりしたのですが、モチベーションが高い時にはこちらでも同じようにDCG関連や、今回のようにプレイしたゲームの記事を書くかもしれません。